いいなーと思っている子と会っていた。
会っていたのだけれど、途中で僕は余裕をなくし、家に、帰ってきてしまった。
帰ってきて、壁にもたれかかり、ひたすらに僕は泣いた。
普通の人間になってからやり直したい。
僕は努力してるのに。
なんで当たり前がこんなに遠いのだろうか。
人より時間をかけて、神経だってつかって、何事にも準備をしてるのに。
人と関わるのはもう諦める。懲りた。
勉強する。ひたすら勉強する。
みんなみたいにできない。だから、僕にできることをする。
今世ではみんなみたいな楽しみ方はできない。
けれど、何一つできないわけじゃない。
やれることをやる、以外に僕はできない。
楽しいことなんてないし、死にたいけれど、死んでも意味がないからやる。
普通になりたいってなんでこんなに遠いのだろうか。
高校の頃だって、寝ずに勉強して国立大学に入って、
社会人になってから厳しい月給でも、土日も休まず働いて、
普通の人には必要のない努力も続けて、なぜか今、引きこもり手前。
なんで、生まれつきの何かの要素が一つ足りていない、
それだけでこんなことになるのだろうか。
人より記憶力もない、集中力もない、
だから何事にも時間注いで無理をしてここまで生きてきたのに。
また高校の時に振り出しだ。
人ができないことをやればいつか人が寄って来てくれる。
そう信じて死ぬ気でやって来て、人は僕の元へは来なかった。
今日は、ごく普通の魅力的な人と会って、
全くもってごく普通に話せなくて。
けれど、もう他にやれることなんてない。
また、死ぬ気で資格勉強に取り組む。
僕にやれるのはそれだけだから、もう死ぬ気でやる。
そう、ひとしきり泣いて、すこし落ち着いた頃に、
その子から電話があった。
「わるかったと思うけれどさ、そんなに怒り続けなくてもよくない?」
そうその子に聞かれて僕は、あれ?僕はもう怒っていないよ?と不思議に思い、
その時にようやく、あれ?僕といたくなかったわけではないのかな?
と、自分のしていた誤解に気がついた。
「いや、もうもちろん怒っていないよ?あえてさ、この後どうする?って聞かれたからさ、ほら、僕うまく話せないからさ、僕といたくないから、そう聞いたのかな、って思って。」
そう僕が言うと、
「うん?いや、どうするか、そのまま聞いただけだよ?それで帰ったからさ、まだ怒ってるのかな?って思って。うーん、どうしたいか分からなかったから、素直にそのまま聞いただけなの。どうしたいかな?って。」
そうだったのか、と単純にそう思った。
もし、今、それでも行かない、とそう言えば、
もうその子に会える機会はないのだろうな。
そう思い、
「勘違いしてた。うん、今すぐ行く。うん行く!」
とそう言って、すぐに服を着替え、家を出た。
もう自分でも、何をしてるんだろう、とそう思った。
思った。
自分がしていた勘違いに気づいて、すぐにまたあの子のいる駅に戻ることにしたけれど、
この勘違いは発達障害によるものなのかな?認知の問題なのかな?
もうよく分からないや。
でも、もう自分は人より劣ってるからとか自分に言いたくない。
僕は人と違う、というそれだけだし、人が楽しいと思うことが楽しめないだけ。
自分が劣ってるなんてもう自分に言ってあげたくない。
だってやってるもん。頑張ってるもん。
とりあえず、自分から人を避けたり離れるのはやめる、
それだけはもう決めたから、向かう。
苦しいけど失敗を重ねるしかない、もう。
それしかないから、向かう。
向かいの電車で日本酒がおいしいお店を探して予約を済ませた。
そのお店の日本酒はおいしいものばかりで、
いくつもの種類の日本酒を試すことができる楽しさがあって、
この日本酒好きかも!イマイチかもー、そんな話をするその時間は予想外に楽しかった。
自分は発達障害だと思うんだ、とまでは言わないけれど、
自分は高校生レベルで精神が止まってるんだ、
経験がないんだ、お金もないんだ、
と、自分が思う自分のネガティブな面についての全てをその子にも話した。
「だから?今楽しくないの?」
と、そう聞かれて、
「飲んでる今もおいしく食べてくれるのも嬉しい。」
て答えたら、
「ならいいじゃん。」
って言われて、確かにそうですね、と思いその話はそこで終了。
日本酒の話をしたり、その子の会社での話や休日過ごした楽しい時間の話を聞いて、飲みの時間は過ぎていった。
帰りの電車で、改めて決めることにした。
もう、自分の方から人から逃げるのはやめることにしよう。
それだけは決めよう。
一人の人と会うだけでもこんなにも苦しいけれど、
それだけは決めよう。逃げるのは、もうやめよう。
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