昨晩心配して家にきてくれた、
お付き合いをしている人が、朝、連絡をくれた。
「社長や、アニキ先輩に相談をしてみて、いいと思う、
かめたさんのことを、きっと思っていると思うし、
私は信じてもらえて嬉しかったし、
アニキ先輩も、信じてもらえたら、きっと嬉しいよ。」
と、そう言ってくれた。
とても、怖いけれど、
その言葉を信じて、社長にも相談をしてみようと思う。
会社に行ったら、傷病手当は会社にとって負担になるか、
もし可能であれば1ヶ月程なのか、
薬の調整をする間、休みをもらえたらありがたい、
そう伝えてみようと思う。
すこし、かなり怖いけれど、
そう、相談をしてみる。
その日は朝から社外での打合せがあり、
いつもは1人で行っている打合せなのだけれど、
アニキ先輩が一緒に着いてきてくれた。
全然、まともに打合せができなかった。
昨晩も寝れず、頭が回らず、説明しながら広げる書類も、
机の上でどんどんぐちゃぐちゃになっていった。
打合せが終わり、アニキ先輩と帰る時、
「やはり無理でした、僕にはこの仕事は追いつきません。」
と、そう伝えた。
アニキ先輩は、どの部分が?と聞いてくれて、
不意の質問に慌ててしまって、と答えたら、
うーん、今回の打合せに不意の質問とかは特にあったかな?
と言われて、確かに事前にアニキ先輩と話した内容ばかりだったよな、なんで慌てちゃうのかな、と、
自分でも不思議に思い、小さく落ち込み、帰ったら、
やはり社長にも、今後のことについてお話ししよう、そう決めた。
会社に戻り、打合わせの議事録を書く。
打合せで出てきた質疑に答えるため、アニキ先輩と社長に確認を取る。
いつもは1人でやる作業だけれど、今日は何も言わずにアニキ先輩は手伝ってやってくれた。
17時になり、自分がその日中にやるべき作業に目処が立ち、
社長に話すぞ、と心に決め、席を立った。
「すみません、僕の体調のことと、今後のことについて、ご相談させてもらってもよろしいですか?」
社長は、うん、いいよ、と言ってくれた。
その様子を見て、
アニキ先輩も、自然と近くの席に座ってくれた。
僕は話がたどたどしく、つっかえてしまった。
こんな風に頭も回らなくなってしまうこともあって、、、
と社長に今の状況についても説明しながら、昨日、アニキ先輩に話したような、現状についてなんとか説明をした。
一通り話したあと、アニキ先輩が補足の説明をしてくれた。
「なんでおれが説明してんだい!笑」って自分で突っ込んで場も柔らかくしてくれた。
途中、コンサータの影響で口も乾き上手く話せなくなり、すみません、薬の影響で口が乾いてしまって、お茶取ってきていいですか?と尋ねてお茶を飲む。
情けないな、なんか、と落ち込むけれど、社長もアニキ先輩も、いいよいいから飲みなよ笑、と言ってくれた。
社長は、たどたどしい僕の話を遮ることなく、ただ、僕が働き続けられる方針を前向きに検討してくれた。
「うん、そういう理由ならしょうがないよな、そうするしか。どうしようにもないもんな。
時間を減らすことで働けるようになったりはするの?」
そう聞いてくれた。
とてもありがたいけれど、時間を減らしたらできます!
と、僕はそうは答えられなかった。
「短期の問題としては睡眠が取れていないことがあって、それにはまず休む時間がほしいと思っています。今は日中の活性を上げる薬ばかりを飲んでいるので、その量を減らすか、睡眠薬をつよいもにするので解決する可能性もあります。
ただ、仮に睡眠の問題が解決して薬がうまく調整ができても、
社員として働くに足るだけの能力が出せるか、
それは今は約束ができなくて。
なので、今はしばらくは休むための時間がほしくて、
その場合、社員としての報酬をもらうことはもちろん正しいとは思っていなくて、
同時に僕は生活していくことも考えていかないといけないので、ご相談させていただきたくて。
なので、傷病手当か、失業保険を考えないといけないのですが、
会社に迷惑をかけない方法については考えたのですが、まだ自分のこれからのことは考えられていなくて、そこはまだ整理ができていなくて、すみません。」
僕はとにかく現状をそのままに伝えることにした。
アニキ先輩が、続きを継いでくれた。
「かめた君は本当に不器用だけど、今回の判断は責任感から来るもので、自分の、デザインの仕事をやり続けたい気持ちを考慮できないぐらいの体調にまでなって来ていて、相談をしてくれてるんです。
俺はかめた君のそういうところを買っていて、何か考えてあげられないかな、ってことを思っていて、
かめた君は今0か100かで考えてしまっているから、そうではない選択肢、を考えてあげられないかな、って思ってるんです。
例えば、体を休める向こう2ヶ月はアルバイトでシフトに入る形にして、
休みを増やしつつ、急遽体調が悪い時にも休めるようにする、でもなんでも、
辞める以外の何かを考えてあげられないかな、と。
その場合、かめた君の主担当のプロジェクトは誰かが主担当にならないといけないけれど、
それは俺が既に腹を括ってますから俺がやります。
傷病手当とかその辺の制度はよく分からないから自分で調べてもらって、来週また話そう。」
そう言ってくれた。
社長は時間を減らしたりしたら働けるの?
と辞める方向ではなく、まだ可能性のある戦力として僕のことを見てくれているように感じた。
「とりあえず、明日金曜はどうする?休みにするか?」
そう僕の体調を気遣ってくれて、
僕はもう十分嬉しくて、
明日は本当に終わらせたい作業があったから、
「ありがとうございます、明日は明日までに終わらせておきたい作業があるので、出勤させてください。」
そう返すと、
「分かった、今日は18時にはもう上がりなよ。また来週なったら話そう。」
社長がそう言ってくれた。
働き続けることに対して前向きに、言ってはくれたのだけれど、
僕は、もう自分が社員として働ける体や脳ではないことを十分に感じている。
毎日なんとか仕事をこなし、頭の側部が熱くなり、つらくて苦しくなり、
そんな毎日を、あと数ヶ月は我慢ができるのかもしれないけれど、
一年は、まして数年は続けられない。
ありがたいけれど、勤め続けられない。
もうこれ以上は、努め続けることも難しい。
職を失うかもしれなくて、
学生の頃から追い続けた夢を失うことにはなって、
それでもなんでなのか、人生が始まった感がある。
なれもしない理想を追いかける人生ではなく、
等身大の僕が僕のままであり続ける人生。
自分が楽だとか心地よいだとか
子どもによっては子どもの時からしていることかもしれないけれど、
そんな行動の選び方は、僕はしてきたことない。
そんな僕が、自分のことを守るために、初めてした選択が、
会社への発達障害のカミングアウト、
そして、
働き方の相談、なんだと思う。
悩みを抱えて、抱え続けてうつになって、
そんな風に自分を傷つける方法以外を、
僕が族のために選んだ選択を、
ようやくはじめたのかもしれないな。
あがかない、って、手放す、ってとても怖いな。
努め歯を食いしばらない、ことがとても怖い。
でも、そういう生き方を、
すこし考えてみようかな。
そういう生き方を、
自分に許すことをはじめてみようかな。
自分のために、自分が楽に過ごせる道を選ぶ、探す。
初めての経験でとても怖いけれど、とても重要な経験を、今僕はしているのだろうな。
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