なんか不意に、
高校生の時にうつ病になった時のことを思い出した。
うつでつらい時に親戚の集まりに行くことになって、
車の中で、いやだなー、つらいなー、って思ってたら、
「親戚の人にうつだなんて言って変に心配させたらダメだからね。」
って親の声が聞こえてきた。
本当に僕はつらいのに、一言目がそれなの?って傷ついたし、
僕は僕自身を隠さないといけないような、
そんな風にも思えてしまって、
おばあちゃん家に着いてみんなに挨拶するなり、
2階の寝室で閉じこもっていた。
そうしたら、
「すこしは1階でみんなと過ごしなさい。」
って言われて、
僕のことを隠したいのか、隠したくないのか分からないや、って混乱をした。
きっと僕がASDを抱えているから、
柔軟に受け止められなかっただけなのかもしれないけれど、
ひどく傷ついて、でも間違っているのは、足りていないのは自分だ、
ってことも感じていたから何も声にできず、
ただ、一階に降りて、
みんなとできる限り目を合わせないように、
できる限り目立たないように、息をころして時間を過ごした。
そんな高校時代を変えたくて、人生を変えたくて、
比喩表現ではなく、これで失敗したら全てをやめるつもりで挑んだ大学受験では、
耳で聞いても授業の理解のできない学習障害があったから、
映像授業に切り替えて何度繰り返し見ても理解ができず自分が情けなくなり、
諦めるのも怖かったから塾の講義を本にまとめた形式の参考書を読み独学をはじめ、
高校の数学の授業中に数学の自習をしていたらひどく怒られて、
何度聞いても分からないんです、と説明しても、
ちゃんと聞こうとしないから分からないんだと担任の先生にはまたひどく怒られた。
自習が許されないならば高校の授業中は寝て過ごそう、
真夜中に勉強しよう、と朝の4時まで勉強をして、授業中は寝ることも当然許されずに体調を崩してうつ病は悪化した。
記憶ができずケアレスミスもひどい僕だから、
問題を解く過程を評価してくれる国立大学なら可能性はあると信じて、人生を変えられると信じて、
体調を整え直して、
朝5時に起きて英語の勉強をはじめ、6時にはうつを改善させるためにランニングに行き、
22時まで塾の自習室で自習をして、
奇跡的に行きたい国立大学に行くことができた。
試験だって最後まで諦めなかったんだ。
問題が解けなくても、僕はどう考えたのか、という文章でいっぱいに解答欄を埋めた。
数学も物理も、僕の解答欄は文章でいっぱいだった。
僕のはじめてできた、努力の結果の成功体験だったけど、
その結果を受けて両親に、
「よくやった!さすが私たちの息子だ。」と言われた時に、
なぜなのか、ひどい怒りを覚えたことを覚えている。
失感情症も酷かったから、自分の感情もまだ掴めていなかったけれど、
自分の部屋でベッドを何度も何度もつよく叩いた。
そんな音ですら、嬉々として音を立てていると、誤解をされているのかもしれない、と思うと悲しくなって布団にくるまって泣いた。
「これは僕の掴んだ僕の結果だ!僕が頑張ったんだ!誰も僕に何も教えてくれなかったじゃないか!奪わないでくれよもう!おれから奪うなよもう!」
と、そう叫んだことは覚えている。
両親は電話で、親戚中に僕が国立大学に受かったことを報告した。
うつになった僕は世間から隠し通したのに。
分かってはいるんだ、
田舎では噂はすぐに広まる。
みっともない部分は隠して、
誇らしい部分は広めて生きた方がきっと生きやすい。
僕の受け取り方がきっと普通ではないからなのだろうけれど、
志望大学の合格!そんな分かりやすく嬉しい場面ですら、
何か、虚しさと、
人生は変えられないのだ、という絶望を、
同時に味わう瞬間になっていた。
僕は自分の大学進学を誇らしいと思えたことなど一度もない。
できなくってもいいんだよ、そんな風に僕は僕思いたかった。
できなくってもいいんだよ。
そんな風に僕は僕のことを思えたことがない。
「できない」なら「存在してはいけない」
それが僕が学んできた考え方であった。
僕がASDを抱えてるがゆえに曲解している部分があると思う。
両親を責めるつもりもまるでない。
ただ、誰も僕を許してはくれないのだから、
これからは、
僕が僕の「できない」ことを許してあげたいな、とそう思う。
「できない」ままでも「生きて」いいんだよ、
つらい道をあえて選ばないでもいいんだよ、
と、そう言ってあげたい。
なぜ、僕は僕の「苦手」な「できない」ことばかりを選択してきたのか、
すこし僕の考え方が形成されてきた過程は見えたように思う。
これからは、
僕が僕の「できる」を探し、「できない」を許していく道を選んでいきたいな、とそう思う。
もう、「お前ならできる!」なんて、言わないでね。
僕には、「できる」こともあるし「できない」こともある。
これからは
僕の「できる」「得意」なことを選ぶ、
そのことを、僕が僕に許すんだ。
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